しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

夕暮れ

大谷翔平の日本での最後のシーズンの頃、ニュースウォッチ9を担当していた。一番ピッチャーで先頭打者ホームランなんかを打っていたシーズン。

大谷の凄さを伝えながら、僕が伝えたくて伝えられない事があった。それは「日本で大谷翔平を見るのは、きっと今年が最後になる」という事。それは見立てでしかないけれど、恐らくそうだろうと感じていた。

「今、あるもの」それを「将来失われるかもしれないもの」という前提で見ることが出来たら、その意味はきっと変わる。

それは今なら照ノ富士の相撲かもしれない。
ある力士が強い時、それは当たり前で、時につまらないものに感じる。(僕らはあの奇跡の復活の物語も、もうちょっと忘れている)

膝に爆弾を抱えながら、それでも積み重ねてきた実直な鍛錬。闘争本能と強い覚悟。そして相撲に対する知性を感じる土俵。それを見届ける時間は、もう少ししか残されていない。そんな気がした、昨日。

太陽で言えば午後4時くらい。
さびしくも美しい夕暮れが、もうすぐ始まる頃。