しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

消えたひと

「こいつも すぐに消えるよ」 いつだったか テレビのアイドルを見ながら 吐き捨てたやつがいた 今になってみれば いなくなったのは あいつのほうだ (それとも僕が あいつから消えたのか)

笑顔

太陽が気持ちよく照っているだけで 風が優しく吹いているだけで ただそれだけのことで 君は笑っているんだね 君の笑顔が好きなんだ 何かを笑うんじゃなくて 誰かを笑うんじゃなくて ただ自分のなかから にじみ出てくるんだね 君といる時の自分も好きになれる…

心の右手

心が急ぎ足の時 心が僕より鈍い足取りの時 心とリズムを合わせる為に 僕は苦労する 幼い子供の手を取るように 僕は心の右手を握る。 そんなに 急がなくていいよ そんなに あせらなくてもいいんだよ 他人のスピードを 気にする事はないんだよ 幼い子供に声を…

君の必要

バイトやめること きのう主任に話したんだ だいっきらいな職場だったから もちろんせいせいしたんだけれど あんまりあっさり許されたから なんだかすこし 寂しい気持ちにもなったのさ ちょっとは引き留めろよお前 なんて 言いたくなる感じにさ 勝手な話なん…

酔っぱらっていると 好きなものが 集まってくる 僕の周りにビールや 焼酎や ウィスキーや マンガや ロックや パソコンが 僕の周りに集まってきて 僕はいい気分懐かしい人からメールが届いたり 名勝負のビデオが どこからか出てきて 熱い気持ちを思い出させて…

好きの敗北

目の前のビールを飲み干す事が、苦痛な時がある。 大好きなビールでさえ、 缶を開けたら「最後まで飲まなければいけないもの」に変わる。 自分の「好き」が、義務に変わる時。 それが一番手に負えない。 自分の「好き」の脆弱さに気づかされる時。 それが一…

鼻歌

僕が鼻歌を歌うと 君は笑う 音程がまるで外れているって 笑う 何の曲だか全然わからないって 笑う 歌ですらないと そんな事まで ひどい 調子に乗って歌うよ 音程も 歌詞も もう何もかも わかんなくなってきちゃったけど 君の笑い声で僕は調子に乗って 大きな…

不遜

僕にはなじまないお酒を飲みながら 僕にはなじまない音楽を聴いている。 自分は一人きりだと思うのは不遜な考え方なんだと 君に教えられた後も 僕はまだ 自分が一人きりであるかのような顔をして さびしがったり 落ち込んだりするような文章で 誰かの気を引…

天井

僕の頭上に天井がある それほど遠くない所に天井がある 天井が僕に言う 「空の事は忘れろ」と 空の声は僕には聞こえない もう少し高ければ不安になり もう少し低ければ息苦しくなるような 微妙な高さに 天井はいつもある 確かに雨はしのげてる 不自由な事は…

呑気

明日はきっと良い日だろうと 僕は思う もし明日 雨が降ったらどうする? と君が言う もし明日 戦争が起こったら もし明日 会社が潰れたら お前はどうするんだ と誰かが言う お前は お前だけのお前じゃないんだ お前が そんなのんびりしてる事で 誰かが 困っ…

20代の空想

うまく出来なかった夜の事を たまに思い出す うまく出来なかった夜の事を たまに思い出す うまく出来なくてあの夜は ただ二人で並んで寝た うまく出来なくてあの夜は 関係ない話をしてごまかした 申し訳なくて お互い恥ずかしくて もう一度試してみて それで…

ふたり

一緒に寝る事は出来ても 一緒に眠る事はできない 君と僕のどちらかが 必ず先に眠ってしまって 君と僕のどちらかが 必ずさびしい 二人でいるのに 一人っきりの夜を送る どちらかが必ず 二人でいるのに 二人で寝ているのに どちらかが 必ずさびしい だから僕ら…

ひとりの夜

心から友達がいなくなる時がある 心から両親がいなくなる時がたくさんあった 心から君がいなくなる時すら ある その時、自分が何をしたのか その時、自分が何をしなかったのか その時、自分が何に気づけなかったのか とても怖い

敗北

放っておいたら ぼんやりとしたかなしみが、確かな悲しみに変わっていく あやふやなわかれが、確かな別れに固まっていく あいまいな負けが、動かす事のできない敗北に決定してしまう その前に 現実をかき回せ 状況を混乱させろ 答えがわからないのなら 答え…

世間知らず

人は誰でも心に一つの沼を持っている とすれば 僕は、どの沼にもはまらずに スイスイと空中を歩いていきたいと考えている この期に及んでも 君と言う沼にも 自分自身の沼にさえ 深入りすることをせずに スイスイと歩いていきたいと考えている この期に及んで…