しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

天井

僕の頭上に天井がある
それほど遠くない所に天井がある
天井が僕に言う
「空の事は忘れろ」と
空の声は僕には聞こえない
 
もう少し高ければ不安になり
もう少し低ければ息苦しくなるような
微妙な高さに 天井はいつもある
確かに雨はしのげてる
不自由な事は少ない
そこにある事さえ意識させない
そんな巧妙さで 天井はそこにある
 
与えられた条件の中での生を全うする事
それは恥ずべき事ではないのだと
あなたは僕に言う
日常にある豊かさを見失ったまま
どこに行くのだ、と。
反抗と僕が思っている行動のほとんどは
「反抗」という経験を積む為の
自己満足なのではないかと
あなたは指摘する
 
(あなたはいつでも半分だけ正しい)
 
見上げると天井がある
それほど遠くない所に天井がある
「空の事を忘れて生きろ」と
天井が言う
 
空の声は
今の僕には聞こえない