しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

トリノの冬 2006-2026

トリノ五輪の中盤、特にすることの無い日にスピードスケートのリンクを訪ねた。パシュートも無かった時代、スピードスケートの注目は500mと1000mだった。その日、3000mか5000mが行われていたリンクの熱気に驚かされた。

「ヨーロッパでは中・長距離の方が人気」そんな事を聞いたことはあったけど、これほどまでとは思っていなかった。リンクはサッカーのダービーマッチのような熱気に包まれていた。
ヨーロッパの五輪は特別だ。隣の県に行くような感覚で、欧州各国の人たちがやってくる。自分たちの国の色に身を包み、小さな国旗をディパックに差して。

リンクで一際盛り上がっていたのはオレンジ色のオランダの人たち。一周ごとに入れ替わる順位に大歓声で応える。選手もその熱気に煽られて滑っているように感じる。

僕は選手の名前も強さもわからなかったけど、一瞬で終わってしまう500mより抜きつ抜かれつの中距離の方が、応援する方も盛り上がるだろうなと思った。運動会のリレーを見ているような気分。
そして応援する彼らには「五輪の雰囲気を楽しみにきた」といった曖昧さは少なく、「俺は、中長距離のスピードスケートが好きなんだ。もちろん@@国の」といった明確な旗印を掲げてそこにいるように思えて、なんだか気持ちよく思えた。

北京の次、2026年には20年ぶりにイタリアに(ヨーロッパに)冬の五輪が帰ってくる。その頃は、観客席でヨーロッパ各国の陽気な人たちが盛り上がっているといいなと思う。きっとオランダの人たちは髙木美帆に心からのリスペクトの拍手を送るでしょう。
そして、パシュートの対決の時には・・・・。

異常だった東京と北京を経て、2024年のパリ、そしてミラノ。きっと、オリンピックのルネサンスのようなものが起きるのかなと思います。そうだといいなと思います。