しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

神々の戦い

と、いうわけで
素晴らしい試合でした。フェルナンド・モンティエル vs ノニト・ドネア。


WOWOWでの再放送は明日(22日)の午前中に予定されているので
結果についてはふれませんが、まぁ見た方がいいっすよ。
とんでもないっす。


勝敗以外の事を避けて書くのは大変ですが、試合前までも見どころはたくさんありました。
まずは試合前の記者会見。味がありました。



いつも、思うのですが海外のスポーツ選手の記者会見っていいですね。
同じWOWOWでやってるサッカーのスペインリーグを見ていても、そう思います。

アスリートである前に、他人を尊敬できる、社会に向けて発信できる一人の大人である。
もの凄い野性を心に持ちながら、それを制御できる知性も持ち合わせている。
そういう言葉が格好いいんです。



たとえば、ドネアの発言。


「実は、我々(ドネアとモンティエール)は親友なんだが・・・・。
(そうだよね?、と横のモンティエールに笑いかける)


 我々は自分自身への、そして祖国への誇りを持っている。
 だからこそ今回の試合は素晴らしい戦いになると確信している。
 モンティエールと私は全力でぶつかるよ。ありがとう」


対するモンティエールの言葉。


「彼(ドネア)は、
 いずれバンタム級スーパーバンタム級フェザー級のチャンピオンになるだろう。
 でも私がいる間は、不可能だ」



言葉が借り物でない。
スポーツや、この試合がが持つ「社会的な意味」をしっかりと認識しつつ
自分自身の戦いのテーマも、しっかりと位置づける事ができている。


日本のスポーツ界と比べるのは、あまりフェアでないかもしれないけれど
なにか、違うんです。


マイケル・ジョーダンとか、モハメド・アリのような
社会全体に影響を及ぼす発言のできるアスリート。
栄光の時代も、その後も、そして引退の後も
「一人の人間」として尊敬されるアスリート。


引退後を考えてテレビ的トークの技を磨く必要も無い、存在感と発言力のある人物。
そういう存在が、日本でどれくらいいるのかなぁと
たまに考えます。


野茂英雄と、あと誰だろう・・・イチローではないよなぁ)


あ、脱線しましたね。


そして、試合直前。
会場とテレビに、ある映像が流されます。
これが、アメリカのボクシング中継の最近の定番なのですが
(どこかの放送局の定番なんでしょうね)
もの凄く格好いいVTRなんです。




過去の偉大なボクサーの映像のコラージュ。
モハメド・アリ
ロベルト・デュラン
マービン・ハグラー
トーマス・ハーンズ
シュガー・レイ・レナード
アレクシス・アルゲリョ
フリオ・セサール・チャベス
ジョージ・フォアマン・・・・。


そして、そういったボクサー達の忘れられない名シーンに、かぶさる言葉。


THIS IS SPORT.


THIS IS EPIC.


THIS IS WAR.


THIS IS LEGENDARY.


そして


THIS IS BOXING




神々の戦い。
そういう言葉がふさわしい戦いが、ボクシングにはあります。


自分の拳だけを使って、ベルトラインから上、後頭部以外を殴る。
シンプルで、だからこそ美しく、最も洗練された格闘技。


そして大事な事は今、日本に世界でトップレベルのボクサーが3人もいるという事です。
長谷川穂積
西岡利晃
そして、井岡一翔


こんな才能が並び立つなんて、信じられないほどの豊穣です。



長谷川か西岡のどちらかは恐らく、今日の勝者とどこかで拳を交えるでしょう。
そして、それは、今日の試合と同じくらいの、世界中の注目を集めるでしょう。


よくNBA NFL NHL MLB を4大スポーツといいますが
間違いなくボクシングは、それに並び立つアメリカのメインスポーツです。
そして日本の3人のボクサーは、そのトップレベルに肩を並べるレベルにいます。


何が言いたいかっていうと、ボクシングに要注目って事です。

ボクシングJP