しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

罪と前進

もう一度
初めからやり直せたら
どれくらいいいだろう と思う
被害者にも加害者にもならず 歩めたらと

でも それはできないこと
過去の僕の言動にはきっと
権力的で抑圧的なものもあった
確実に僕は 多くの人を傷つけてきた

仕方なかったとは言えない
被害者でもあったからとか
時代が違ったから とも言い訳できない
でも
それをどう償えばいいのだろう

過ち
それは僕を弱くするだろうか
あるいは
優しくするだろうか
それとも
曖昧にするだろうか

自分には もう
誰かの間違いを糺す資格などないのだと

戦後生み出されたダークヒーロー
デビルマンのような
罪を背負い 罪に苛まれながら それでも戦う物語
その意味が ちょっとわかる気がするいま

人を傷つけ 罪を背負ったその後に 
どう生きていくか

自分の矛盾と 人間のままならなさを 
身を持って知った先に
返り血を浴びながら伝える物語

もしそれが 同じような誰かの背を
押すこともあるならば