冬眠
毛布にくるまって、ソファに寝転んで、一日何もしない。
冬眠する動物みたいに体温も低くなって、あまりお腹も空かない。
たぶん、本能的に体や心が回転数を落としている。
あるいは鬱なのか、そもそも怠け者だからという説もあるけれど。
回転数が落ちて、馴染むようになったこともある。
家族の話に耳を傾けたり、昔の本を開いてその頃の気持ちを辿ったり。
僕は手にしたものを大切にすることなく、次の何かを探し続けてきた。
明日、みたいな不確かな約束。
今日を犠牲にし続ければ、いつかやってくると信じていた。
急ぎすぎたんだよ。急がされていることに気がついてたのに。
忙しいことを理由にして、置き去りにしてきた。
立ち止まったら負けだと、思い込まされて。
電気を消して、ろうそくに火をつけて、それ以上僕は考えない。
生きることに集中しよう。生き延びることじゃなくて。
今、できないことがたくさんあるけれど、
本当にしたいことは何? 本当に会いたい人は誰?
この時が過ぎたら、ひとつかふたつのことをしよう。
一生をかけて。
大切な人との時間を、大切に生きていこう。
時間はたっぷりあるから、今はゆっくり考えよう。