しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

忘れてた

いつでも買えると思っていたものは そうではなかった
いつでも行けると思っていた場所は そうではなかった
いつでも会えると思っていた人は そうではなかった
どうにでもなると思っていたことは 
どうにもならなかった

忘れていた 
大切な人のことを
必要なものを作っている人のことを
社会を支えている人のことを
私たちの生命がどのように 維持されているのかさえも

考えなくたっていい 
答えが必要になったら 検索すればいい
困難にあったら そのとき検索すればいい
シミ抜きの方法みたいに 
たくさんの答えの中から 良さそうなものを選べばいい
そのうちに 
考える力は失われていた
誰かと力を合わせて問題を解決する力も

いつでも手に入ると思ったから 手放したもの
当たり前のことだと思って 大切にしなかったこと
誰かが より安い賃金でやってくれると思ったから 
替わりはいくらでもいると考えて 大切にしなかった人たち

僕らは復讐されているのだ
僕ら自身に
でも 
まだ間に合う