しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

2020-01-01から1年間の記事一覧

サラ

弾けるような笑顔で歩み寄り、その女性は腕を広げた。ローマの大通り、去年の3月。僕は彼女とハグをした。普段は見知らぬ人と、いや知ってる人とだってハグなんかしないけど、海外旅行の開放感もあったのかもしれない。大学生くらいの細身の女性。My name…

先輩はもういない

大好きな先輩がいた。お酒が好きで本が好きで映画が好きで、とても影響を受けた。でもいつからか距離を置くようになった。たとえばそれは、先輩に繰り返し聞かれることなんかがきっかけだった。「前田、あの映画見た?」「前田、あの番組見た?」「前田、あ…

Game Changer

こうありたい理想と、そうではない現状。そのギャップに気付き、考えることから成長は始まる。個人でも組織でも国家でも。 そうでない現状は絶望的でもあるけれど、それを可能性として捉えることも可能だ。学習やスポーツの経験はその為にある 乗り越えた後…

人生は

人生は早押しクイズじゃない仕事は早押しクイズじゃない だけど時々僕は、誰かの発言を遮って正解っぽい事を言おうとしている (しかもそれは自分の正解ではなく決定権のある人の正解だったりする) 流れを乱す人に心の中で舌打ちすることさえある賢くなんか…

悪口

美しいメロディで綺麗な韻を踏んでよく通る声で悪口を言おう 目指すものが違うんだから向こうの土俵には乗らずあくまで気高くいたいよね 論理や道理を信じない人を論破はできないよ北風よりも南風 敵味方構わず包み込むあるいは黒潮みたいに豊かな恵みを運ぶ…

呑み会の夢

楽しかった呑み会のことは 何も覚えていない楽しければ楽しいほど いつも呑み過ぎたから何も覚えていないんだでもそれは魔法のような時間君が感じていたことを 実は僕も感じていて僕がうまく言えなかったことを 君が見事に言葉にした再会した戦友のように力…

追憶

久しぶりに家族と長い時間を共にしている。不思議と穏やかな時間。現実感がない。実はもう、走馬灯の思い出の中ではないかと思うくらい。 セピア色の毎日。他愛のないことで笑い合う。涙が出そう。 何か痛恨の失敗でもやらかして、間違いなく現実だというこ…

間違い電話

門司に住むイラストレーターの黒田征太郎さんは北九州時代に何度か仕事でお世話になった。今でも年に2、3回、黒田さんから電話がかかってくる。でもそれは必ず間違い電話。どこかの前田さんと間違えてしまうらしい。 「いやぁ、すみません。いつもいつも」…

僕らの言葉

息子といると、たまに若者の新しい言葉を知れて楽しい。「ワンチャン」とか「それな」も面白かったけど、最近は「ま」とか「そま」とか言う。「まじか」の「ま」で、「それまじ?」の「そま」らしい。面白いよなぁと思う。 「自分たちにしか通じない」言葉が…

居酒屋「たろ」へのバラッド

会社の3階通用門を出た先にある小さな呑み屋がオアシスだった。ちょっとアウェイな職場にいた2年前、10時に仕事が終わると毎日のようにそこで漫画を読みながら一人終電まで呑んだ。たまには2人で。多くても3、4人まで。大勢で盛り上がる呑み方は昔か…

好きの敗北

目の前のビールを飲み干す事が、苦痛な時がある。大好きなビールでさえ、缶を開けたら「最後まで飲まなければいけないもの」に変わる。自分の「好き」が、義務に変わる時。それが一番手に負えない。自分の「好き」の脆弱さに気づかされる時。それが一番打ち…

イメージ

朝になったら目覚めさせよう眠っていた やさしい気持ちを大切な人を揺り起こすように 日が暮れたら迎えに行こうどこか遠くへ行っていた 静かな気持ちを大切な人と待ち合わせたいつかの夕暮れのように

思い出

何年かしたらきっと聞かれるだろう「その時 あなたは何をしていましたか」1995年1月17日僕は夕方まで眠っていた その時僕は23才だったまだ親と一緒に住んでいたやさしい女の子がいなくなって違う出来事を ぼんやりと待っていたもっとたくさんの事を僕…

「あと1年」への新たな戦い

ホッとした気持ちがある一方で、何か微妙な違和感も残る決定でした 「その先/その後」のことも考え始めていただけに。当のアスリートが一番複雑な思いの中にいると思いますが。 あと1年という時間をどう過ごすか。混迷のなかで見失ったそれぞれの「Road to…

迷惑かけてもいいよ

誰かに頼られることは、嬉しい事だよね。誰かの役に立つことや、助けてあげられることも。 だとしたら、皆もっと人を頼っていいんだと思う。PSY・Sの昔の歌じゃないけれど時々は、迷惑かけたっていいと思うんだよね。(私はかけまくってる)与えることは、与…

敗北

僕らは薄々気付いている 僕らはもうすぐ、何かを失うだろう 仕方ないよ、と僕らは言うだろう 誰も悪く無いよと、誰かが言うだろう みんなで乗り越えようと、みんなが言うだろう 忘れる事は得意だから、自分を誤魔化すことも 起きてしまった事を、いつまでも…

火曜日

火曜日はボランテイアの日。朝9時に浅草橋の事務所からハイエースに乗って寄付される食べ物を集荷する。小雨まじりの首都高、あちこちで事故や渋滞が起きている。大きな車の運転はまだ慣れない。知らないうちに速度が落ちていて、車の流れを淀ませてしまう。…

損してない

「損をしている」感覚に、とらわれていないか 自分だけが損をしている正当な評価や対価を得られていない そんな考えに囚われていないか 努力や苦労が認められず自分が得るはずのものを、得られなかったときあるいは他の誰かが手にしているように思えるときと…

Get up

問題は休校の是非じゃないです。 誰が、何のデータを元に(どんな危機と天秤にかけて)どういう検討の末に決めたのか。 その過程と結論を、誠心誠意伝えようとしない事が問題なんです。 休校の是非は今後の経過や結果を待たなければいけないし、その上でも賛…

「かぎかっこ」に囲まれた世界

僕たちは言葉を「かぎかっこ」に囲う。「かぎかっこ」に囲って安心する。 囲われた言葉は「いわゆる、一般的に使われる」という意味合いを持ち、決して自分たちがそう判断している訳ではない、という留保がついて、僕らは安心する。 「真実」も「不正」も「…

問い

自分だけの答えを探す為に、自分だけの問いを探す旅。

冷血

うすうす気付いてはいたけれど、目を背けてきた自分の姿を突きつけられる時がある。 そんな時は、どうすればいい? たとえば僕は、優しそうだけど本当はちっとも優しくなんかない。 正確に言えば、少し離れたところにいる人には優しく振る舞えるけど、本当は…

盛り上がらない

「盛り上げる」という言葉に違和感を感じることがある。.ラグビーを盛り上げる五輪を盛り上げるパラを盛り上げる別に悪い事では無いし、むしろ積極的に取り組むべきことなのかもしれないけれど。「盛り上げる」その言葉に、どこか引っかかる時もある。.「盛…

点ではなく

ある一点で人を判断してしまう、ことがあるもしかしたらその人のもっとも良くない部分があらわれた、行動や言動その一点で人を断罪してしまう、ことがある どんなきれいごとを言ってても本音はあれなんだああいうことをしてしまうあれこそが、あの人の本質な…

酒の旅

誰かに会いたくて ひとりで酒を飲む男 どこかに行きたくて ここでひとりで飲む男 ビールを飲んで 僕は旅に出る 陽気な自分がいる国へ たくさんの自分が それぞれ勝手に 胴上げしたり 胴上げされたり サンバを踊ったり マンボを踊ったり 陽気な自分ばっかりの…

壁と卵焼き

誰だって、魂の暗がりに陥ることはある。 思い出したくないほどに、ひどいことをしてしまったり人を傷つけてしまった経験は誰にもあるはずだ。 誰かを断罪できるほど、誰も立派じゃない。だから法があり、罰があるのだ。厳密なルールに基づいて。 「あいつは…

48

気が付けば、弱さを磨いてきたような人生。強くてオラオラするよりも、弱くてクヨクヨしてる方がいいと感じながら。その感じを証明したい気持ちもあるけれど、そこにも罠があるような気もする。 比べる/比べられるから、できるだけ距離を取りたい。自分の尺…