早川義夫
二十三歳の時である。僕はその時、はじめて生活の事を考えた。もう、あまり人と接しなくてすむような、喋らなくてすむような仕事につきたいと思った。けたたましく電話が鳴りひびき、かっこいいと思っている流行語が飛びかわないようなところへ行きたかった。どこか静かな田舎の方でおじいさんになれたらと思った。
(僕は本屋のおやじさん)
線は、のびていくことができるが、点は、のびようがない。しかし、点は爆発する。
歌えないものが、歌っているものを、うらやましいと思うのは、別な歌い方を知らないだけだ。
歌の本質は、悲しみを忘れさせるためにあるのではなく、悲しみを忘れさせなくするためにある。
かっこいい事は、なんてかっこ悪いんだろう
(ラブ・ゼネレーション)
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歌えなくても、歌うことはできる。
ほんとうの事を、探し続ける人生は豊かであり、
自分自身を突き詰めていけば、どこか明るく風通しの良い場所にたどりつける。
ひとりきりの部屋からでも。
自分に正直に生きることの、格好よさを教えてくれた人。
たとえそれが、格好わるくみえたとしても。
早川義夫(1947ー)