しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

冬眠

毛布にくるまって、ソファに寝転んで、一日何もしない。

冬眠する動物みたいに体温も低くなって、あまりお腹も空かない。

たぶん、本能的に体や心が回転数を落としている。

あるいは鬱なのか、そもそも怠け者だからという説もあるけれど。

 

回転数が落ちて、馴染むようになったこともある。

家族の話に耳を傾けたり、昔の本を開いてその頃の気持ちを辿ったり。

僕は手にしたものを大切にすることなく、次の何かを探し続けてきた。

 

明日、みたいな不確かな約束。

今日を犠牲にし続ければ、いつかやってくると信じていた。

 

急ぎすぎたんだよ。急がされていることに気がついてたのに。

忙しいことを理由にして、置き去りにしてきた。

立ち止まったら負けだと、思い込まされて。

 

電気を消して、ろうそくに火をつけて、それ以上僕は考えない。

生きることに集中しよう。生き延びることじゃなくて。

今、できないことがたくさんあるけれど、

本当にしたいことは何? 本当に会いたい人は誰?

 

この時が過ぎたら、ひとつかふたつのことをしよう。

一生をかけて。

大切な人との時間を、大切に生きていこう。

時間はたっぷりあるから、今はゆっくり考えよう。