しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

点ではなく

ある一点で人を判断してしまう、ことがある
もしかしたらその人のもっとも良くない部分があらわれた、行動や言動
その一点で人を断罪してしまう、ことがある

どんなきれいごとを言ってても本音はあれなんだ
ああいうことをしてしまうあれこそが、あの人の本質なんだと

その人のそれまではすべて失われてしまった、かのように
その人に与えてきたすべての評価は偽りのものだった、かのように
騙された、そんな言葉さえ口にして

そんなこと言ったら、自分はどうだ
自分を、自分のもっとも酷い行動や言葉で、判断されたら
すくなくとも僕は、生きていけない
誰にも知られたくないあれこれ、だけではないことが、僕にはある

たとえば人を点ではなく、幅としてとらえてみたらと思う
良いところから悪いところまでの、幅を持った存在
そのてっぺんもどん底もその人だという風に、とらえてみたらと

幅だけじゃなく本当は、奥行きもあるかもしれない
過去から今そして未来へと、変わってゆく形
良い部分とそうでない部分、そのブレンドの具合も
昔とは変わっていってるかもしれない

人のいくつかの点に出会ったら
その人の矛盾を思うのではなく
その点を自分なりにつなげてみたら、どうだろう
いま見えているものとは違ったその人のかたちが
浮かび上がるかもしれない 

星座のように