しあさっての方向

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尊厳 2019

「君たちが大切にしてきたものは、俺たちの力でどうにでもできる、大したこと無いものだ」

そう言われている気がする、この頃。

フェアであること。相手の話を聞くこと、意見の違いを丁寧にすり合わせていくこと。

道理に合わない事をしないこと。
過去の人たちが築き上げたものや、専門家が一生をかけて積み上げてきた英知に、敬意を払うこと。

言葉を大切に扱うこと。
言葉を、相手を言いくるめる為だけに使わないこと。

すべての人には尊厳があり、その尊厳をないがしろにしないこと。

そんな事はすべて、どうでもいい事だったのか。
そんなに皆、怒っていないという事は。

 

僕には聞こえる、どこかで笑う声が。

「その時々は格好いい事言ったって、すぐに忘れるんだろう?」
「何かを批判してるようなポーズをしてみたいだけなんだろう?」

「お前らが本当に気にしてるのは、ローンの繰り上げ返済の事や、上司からの評価や、子どもの受験の事だけなんだろう?」

「組織に波風立ててまで、反対を貫く覚悟なんて無いんだろう?」

 

そんな風に舐められているような気がする。

 

他の誰でもない君と君の大切な人たちが、その人生が、舐められているんだ。

気付かないのか。