しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

囚われ

正しさに囚われている 
違う 間違わないことに囚われている
正しいことは 間違ってないことじゃない

 

速さに囚われている
一分一秒を争って 鍛え上げて
速さには 終わりがないから夢中にもなれる 
しかし 闇雲な速さは失われる速さでもある
来週には 誰も覚えてはいない
それほどの速さと量 圧倒的な
廃棄される恵方巻きにも似た

 

リスクに囚われている
誰かに示されたリスク 
フラグ付きの一斉メールで示されるリスク
上から下へ 右から左へ
ラグビーボールのようにパスされるリスク
取り返しのつかない事になるからと 
違う 
もう 取り返しのつかない事は起きている
無自覚に共有されるリスク
自分では無い誰かが決めたルールを パス
そのルールの正当性を信じていない人もいる
信じていないけれど 疑ってもいない
疑う事は リスクの一部だから
疑う事は 大切な速さを失わせるから
全体が一つの生き物のように意思を統一する事
それが組織のあるべき姿だと信じている 信じられない退廃
良心の全体主義 どこかで見たマスゲーム

 

全てわかっているような顔をして
それでも仕方のない事なのだと諦めて 
石垣りんの「雪崩」のように)
これから起きるかもしれない ひどい事も 
織り込み済みのような顔をして