しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

聞く力

昔、実力のある格闘家が総合格闘技のリングに上がって惨敗をして、
晩節を汚す風景をたくさん見た。

世界にはたくさんの戦いの舞台があって、
一つの世界で最強な人が、違う舞台ではそうでもないんだなという事を、
僕たちは学んだ。

残酷な現実だとその時は思った。でも今は違う思いだ。

人生を賭けて一つの競技で戦って来た人がいたのなら、
その人を評価するのは、その土俵であるべきなのだ。



論争の時代には、人を言い負かす事が良しとされる文化には
もう、別れを告げたい。


たぶん今、必要とされているのは
人の言葉や、語られない人の思いを
聞く力だ。

名もない人の尊さや、敗れ去った人の見えざる日々を
思う力だ。
 


 「いちばんつまらない人間だって
  結構偉大なものさ
 
  そいつを愛するのにも、人間の
  一生じゃとても短すぎる」