茨木のり子の家
夏休みに子どもと図書館に行って、この本を見つけました。
僕の一番好きな詩人、5年前に亡くなった茨木のり子さんの自宅の写真を集めた本。
とっても素敵な本でした。
最愛の夫を49の時に亡くし、それから30年間ひとりで暮らした家。
シンプルな中にも、一つ一つの家具やその配置にまで心砕いていた事がわかる彼女の生活。
それらを素敵なライティングで撮った写真の数々が納められています。
直筆原稿の筆跡や、それを納めておく引き出しもすべて、
彼女の「控え目だけど、主張のある生き方」を表しているんです。
本棚の写真には、工藤直子や石垣りんや山之口貘の詩集が並んでいます。
年老いてから始めた韓国語の練習の為の単語カードも。
亡くなってから撮られた写真なのに、
生き生きとした彼女の人生が伝わってきます。
寂しくもなく、辛気くさくもありません。
僕は17歳の誕生日に、お茶の水の三省堂に行って
「今日は小遣いの事を考えずに本を買おう」と心に決めて
1階の詩集のコーナーで、たまたま思潮社の現代詩文庫「茨木のり子」を手に取って
その中の「汲む」という詩を読んだのです。
僕の生き方や感じ方も、その時にある程度決まったような気がします。
「すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと・・・」
色々な局面で
何度も何度もその言葉を思い出しました。
アマゾンで本を買うのもいいけど
たまに本屋や図書館に行くのも悪くないなぁと思ったです。
(茨木さんの有名なポートレイトが谷川俊太郎が撮ったものだったという事も
この本で初めて知りました)
今度は後藤正治さんが書いた評伝も読んでみようっと。