しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

心に残る映画2

というわけで続きっす。


「魂の叫び」と並んで、僕にとって一番大事な映画。
それは「アンチェイン」です。




ボクサーやキックボクサーなど4人の格闘家のドキュメンタリー。なんですが
そのリアリティと切なさは、凄いっす。


主人公のアンチェイン梶は、1勝もできないままに引退を余儀なくされたボクサー。
空回りする正義感を胸に、自分で仕事を起すが、何をやってもうまくいかない。
持て余す、周囲の友人たち。
浴びるように飲む酒とボクシング時代のダメージで、梶は次第に言動がおかしくなっていきます。
最終的に、梶は友人の手で精神病院に送られてしまいます。


その他の格闘家も、それぞれのままならない人生を抱えつつ戦いを続けます。
そんな、ある日
梶が病院から、戻って来ます。
4人の格闘家は、それぞれの戦いに決着を付ける為、
時に支え合いながら、最後の戦いに向かっていくのです。



凄いのは、これが全部実話、という所。
主人公達は、豊田利晃監督のカメラの前で、
あっけらかーんと、凄い話を話します。あくまで陽気に。


「梶さんが殴り込み行く言うから、とりあえず数は集めておかなと思ったんですよ」
みたいな感じ。


皆、社会の当たり前からはかけ離れた
「大丈夫か、こいつら」みたいな人達なんですが
妙にユーモラスで、チャーミングなんです。


そして多用される監督のデジカメは、
後楽園ホールに入場する選手達を
後ろから、随行するように撮って行きます。


監督自身も彼らの仲間のように、セコンドの一人のような気持ちで
作っていたんだという事がわかります。



そして、音楽はSOUL FLOWER UNION
映画のポスターは土田世紀が描いていました。
なんというか、最高の組み合わせです。




男子なら、絶対に見るべし!
とお伝えしておきますよ


今週のお題「心に残る映画」