しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

かなしみ

かなしみは かなしみのままだ
問いが無いところでは


かなしみは かなしみであり続けるしかない
源への問いかけがないところでは


かなしみは 空を飛べるのに

かなしみは かなしみ以上の何かになれるのに


君のかなしみは かなしみのまま
地面をはいずり回っている


「なぜ私だけが」ではない
かなしみは いつでもあなただけのものだ


「いつまでこんなことが」ではない
かなしみは 常にあなたと共にあるものだ


必要なものは 
もっと深い 問いかけ


かなしみとは何か


否定形では語れる
かなしみは不幸ではない
かなしみは欠落ではない


諦めとも 絶望とも異なる
もっと絶対的なもの 何にも左右されることのない


無意識に流れ落ちる涙


すべてを燃やし尽くそうとする炎


理不尽な生と
唐突な死


全ての叶えられなかった祈りと
全ての届かなかった思いと
忘れ去られた人々


かなしみとは何か


一つだけ 知っていること
かなしみは 
語った言葉の数では測れない
流した涙の数では測れない


かなしみの深さは
かなしみについて考えた時間だ



あのかなしみが空へ飛び立つ日がきたら
きっとわかるだろう


かなしみとは何か


それは 
僕らが分かり合う為の唯一の手段


僕らが分かち合うことができる唯一のもの



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