しあさっての方向

本と音楽と酒と詩

旅立ちの季節

新人研修とかで若者と話す時は、よくこんな話をする。「キャリアを重ねるほど、いい番組を作れるようになると思いがちだけど、そんなことないかもよ」と。そしてこんな事も言う。「ファーストアルバムが最高で、それを越えられないバンドなんてたくさんいる…

「日本的な集団と個人に関する一考察」

・集団化すると日本人は強くなる。しかし強くなった集団は、集団化しない(しようとしない)個人や、集団内の異分子への排他性を高める。 ・集団化にあたっては、個性や個人的な行動への制限が求められる。それは規律という言葉で表現される。集団に属する人…

傾聴ボランティア

コロナの前までは隔週で傾聴ボランティアをしていた老人ホームを訪ねて お年寄りの話を1時間くらい聞く 多くの方は認知症的な感じでいつも同じ話を繰り返す 楽しい思い出を話す人もいれば辛かった話ばかりする人もいる 僕も酔っ払うと同じ話を繰り返すから…

僕らの失敗

失敗した仲間と酒を呑むことがあるちょっとした失敗の人もいるし 結構なレベルの人もいた 僕はいくつかの引き出しから、とっておきの失敗を披露して (それは彼らと同じくらいか、それよりももっと)それを聞くと仲間は力なく、それでも笑う そんな時に僕が…

映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」感想

面白かった! 政治家に密着したストレートなドキュメンタリー。実はそれはある種のコロンブスの卵。マイケル・ムーア的な過激さや森達也のような強い批評性はなく、ちょっと前の民放深夜のドキュメンタリー的なテイスト。でも目が離せない。 主人公の誠実な…

よくある話

大丈夫そうに見える人が 全然大丈夫じゃないなんて よくある話 大丈夫そうに見えたのになんて そんな言葉がずっと 大丈夫そうな人を苦しめていたなんて よくある話

ハラスメント

パワハラとかハラスメントを受けるとはどういう事かというと、心の中にその加害者がい続けるということ。 心の中にその時の上司や先輩や教師がいて、その時の言葉を自分に向けて言い続ける。 「何やってるんだ」 「こんなこともできないのか」 「お前には無…

サラ

弾けるような笑顔で歩み寄り、その女性は腕を広げた。ローマの大通り、去年の3月。僕は彼女とハグをした。普段は見知らぬ人と、いや知ってる人とだってハグなんかしないけど、海外旅行の開放感もあったのかもしれない。大学生くらいの細身の女性。My name…

先輩はもういない

大好きな先輩がいた。お酒が好きで本が好きで映画が好きで、とても影響を受けた。でもいつからか距離を置くようになった。たとえばそれは、先輩に繰り返し聞かれることなんかがきっかけだった。「前田、あの映画見た?」「前田、あの番組見た?」「前田、あ…

Game Changer

こうありたい理想と、そうではない現状。そのギャップに気付き、考えることから成長は始まる。個人でも組織でも国家でも。 そうでない現状は絶望的でもあるけれど、それを可能性として捉えることも可能だ。学習やスポーツの経験はその為にある 乗り越えた後…

人生は

人生は早押しクイズじゃない仕事は早押しクイズじゃない だけど時々僕は、誰かの発言を遮って正解っぽい事を言おうとしている (しかもそれは自分の正解ではなく決定権のある人の正解だったりする) 流れを乱す人に心の中で舌打ちすることさえある賢くなんか…

悪口

美しいメロディで綺麗な韻を踏んでよく通る声で悪口を言おう 目指すものが違うんだから向こうの土俵には乗らずあくまで気高くいたいよね 論理や道理を信じない人を論破はできないよ北風よりも南風 敵味方構わず包み込むあるいは黒潮みたいに豊かな恵みを運ぶ…

呑み会の夢

楽しかった呑み会のことは 何も覚えていない楽しければ楽しいほど いつも呑み過ぎたから何も覚えていないんだでもそれは魔法のような時間君が感じていたことを 実は僕も感じていて僕がうまく言えなかったことを 君が見事に言葉にした再会した戦友のように力…

追憶

久しぶりに家族と長い時間を共にしている。不思議と穏やかな時間。現実感がない。実はもう、走馬灯の思い出の中ではないかと思うくらい。 セピア色の毎日。他愛のないことで笑い合う。涙が出そう。 何か痛恨の失敗でもやらかして、間違いなく現実だというこ…

間違い電話

門司に住むイラストレーターの黒田征太郎さんは北九州時代に何度か仕事でお世話になった。今でも年に2、3回、黒田さんから電話がかかってくる。でもそれは必ず間違い電話。どこかの前田さんと間違えてしまうらしい。 「いやぁ、すみません。いつもいつも」…

僕らの言葉

息子といると、たまに若者の新しい言葉を知れて楽しい。「ワンチャン」とか「それな」も面白かったけど、最近は「ま」とか「そま」とか言う。「まじか」の「ま」で、「それまじ?」の「そま」らしい。面白いよなぁと思う。 「自分たちにしか通じない」言葉が…

居酒屋「たろ」へのバラッド

会社の3階通用門を出た先にある小さな呑み屋がオアシスだった。ちょっとアウェイな職場にいた2年前、10時に仕事が終わると毎日のようにそこで漫画を読みながら一人終電まで呑んだ。たまには2人で。多くても3、4人まで。大勢で盛り上がる呑み方は昔か…

好きの敗北

目の前のビールを飲み干す事が、苦痛な時がある。大好きなビールでさえ、缶を開けたら「最後まで飲まなければいけないもの」に変わる。自分の「好き」が、義務に変わる時。それが一番手に負えない。自分の「好き」の脆弱さに気づかされる時。それが一番打ち…

イメージ

朝になったら目覚めさせよう眠っていた やさしい気持ちを大切な人を揺り起こすように 日が暮れたら迎えに行こうどこか遠くへ行っていた 静かな気持ちを大切な人と待ち合わせたいつかの夕暮れのように

思い出

何年かしたらきっと聞かれるだろう「その時 あなたは何をしていましたか」1995年1月17日僕は夕方まで眠っていた その時僕は23才だったまだ親と一緒に住んでいたやさしい女の子がいなくなって違う出来事を ぼんやりと待っていたもっとたくさんの事を僕…

「あと1年」への新たな戦い

ホッとした気持ちがある一方で、何か微妙な違和感も残る決定でした 「その先/その後」のことも考え始めていただけに。当のアスリートが一番複雑な思いの中にいると思いますが。 あと1年という時間をどう過ごすか。混迷のなかで見失ったそれぞれの「Road to…

迷惑かけてもいいよ

誰かに頼られることは、嬉しい事だよね。誰かの役に立つことや、助けてあげられることも。 だとしたら、皆もっと人を頼っていいんだと思う。PSY・Sの昔の歌じゃないけれど時々は、迷惑かけたっていいと思うんだよね。(私はかけまくってる)与えることは、与…

敗北

僕らは薄々気付いている 僕らはもうすぐ、何かを失うだろう 仕方ないよ、と僕らは言うだろう 誰も悪く無いよと、誰かが言うだろう みんなで乗り越えようと、みんなが言うだろう 忘れる事は得意だから、自分を誤魔化すことも 起きてしまった事を、いつまでも…

火曜日

火曜日はボランテイアの日。朝9時に浅草橋の事務所からハイエースに乗って寄付される食べ物を集荷する。小雨まじりの首都高、あちこちで事故や渋滞が起きている。大きな車の運転はまだ慣れない。知らないうちに速度が落ちていて、車の流れを淀ませてしまう。…

損してない

「損をしている」感覚に、とらわれていないか 自分だけが損をしている正当な評価や対価を得られていない そんな考えに囚われていないか 努力や苦労が認められず自分が得るはずのものを、得られなかったときあるいは他の誰かが手にしているように思えるときと…

Get up

問題は休校の是非じゃないです。 誰が、何のデータを元に(どんな危機と天秤にかけて)どういう検討の末に決めたのか。 その過程と結論を、誠心誠意伝えようとしない事が問題なんです。 休校の是非は今後の経過や結果を待たなければいけないし、その上でも賛…

「かぎかっこ」に囲まれた世界

僕たちは言葉を「かぎかっこ」に囲う。「かぎかっこ」に囲って安心する。 囲われた言葉は「いわゆる、一般的に使われる」という意味合いを持ち、決して自分たちがそう判断している訳ではない、という留保がついて、僕らは安心する。 「真実」も「不正」も「…

問い

自分だけの答えを探す為に、自分だけの問いを探す旅。

冷血

うすうす気付いてはいたけれど、目を背けてきた自分の姿を突きつけられる時がある。 そんな時は、どうすればいい? たとえば僕は、優しそうだけど本当はちっとも優しくなんかない。 正確に言えば、少し離れたところにいる人には優しく振る舞えるけど、本当は…

盛り上がらない

「盛り上げる」という言葉に違和感を感じることがある。.ラグビーを盛り上げる五輪を盛り上げるパラを盛り上げる別に悪い事では無いし、むしろ積極的に取り組むべきことなのかもしれないけれど。「盛り上げる」その言葉に、どこか引っかかる時もある。.「盛…